2010-01-06

誰も知らない、リアルエールの輸出のロジスティクス

こんにちは~
最近、都内はずっと天気がいいですね◎私の本プロジェクトの前途には、活発な雨雲がかかっているようですが…笑
さて気を取りなおして、エントリ行きます。

今回は、ロジスティクスのお話です。こちらもなかなか大変でした。

以前のエントリで書いたとおり、リアルエールは非常にローカルな飲み物です。週に5バレル程度しか醸造しない、文字通り「マイクロ」なブルワリーはザラにありますし、独自の販売網を持たないため、醸造所の半径数十マイルの圏内にしか販売しない蔵元も多いです。また、樽詰め後は基本的に2~3週間で消費してしまうため、長期保存についての情報は「不要」なんですね。

つまり、リアルエールの輸出については、誰に聞いても教えてくれない、というか、知らないのです。

CAMRAの本を読んでみても、やれ「マイルドは数日しか持たない」だの「ストロングエールでも1週間が限度」だの、輸送については批判的な言説ばかり。
しかしアルコール度数に差はあるにせよ、ビールもワインも醸造酒です。前にお話したとおり、私は某自然派ワイナリーで、無農薬、無肥料で育てたブドウを使い、完全無添加でワインを作っておりました。醸造時も瓶詰め時も、酸化防止剤無添加です。この方法は、醸造学においては非常識と言われています(腐造、酸敗が起きるため)。それでも、長期熟成に堪えるワインを作ることは可能なのです(さらに私が醸造担当したワインは今年、ワインスペクテイターで93点をいただきました!)。実際に現場で経験した私だからこそ、感覚的に分かっていたことがありました。

リアルエールも、ちゃんと造ってあるものなら、スタイルを問わず定温コンテナで輸入することが可能だろうし、日本での賞味期限も、最低でも1カ月は問題ないだろう


と。お世話になっているボーンマスのGoat & TricycleのMickも、「CAMRAの連中はうるさ方を自任している連中ばかりだからね。俺のパブでも、実際1カ月保管しても何の問題もないし、オーディナリービターでも、開封後10日は無問題で提供しているよ」と言ってました。ま、普通にやってたら10日は持たないので、そこは色々な器具を使うのですが。

実際、今年だけでも約400種類のリアルエールを英国でテイスティングした私ですが、そのうちの1割弱については、問題なく輸出できると判断しました。「ちゃんと造っている」というところがミソです。具体的に申し上げたいのですが、これは主にテイスティングによってのみ知覚するものであり、それが、私をして「リアルエールエージェント」たらしめている「企業秘密」な部分ですので…。

それはともかく。とにかく、「輸出に堪えるリアルエールは存在する」

のです。

あとはそれをどのように輸出するのか?これには以下のように、大きく分けて4つの段階があります。

  1. 英国の国内輸送

  2. 英国~日本間の輸送

  3. 食品検疫及び税関

  4. 日本国内の輸送


すごく簡単に言いますと、①についてはブルワリー、あるいは現地運送業者に、②以降については、日本のフォワーダーさん(混載業者)にお願いすることになります。なので①については、さほど難しいことはありません。ところが、②以降になると、これが非常に難しかった。とりわけ貿易の非業界人だった私にとっては…。
第一に、運送業界が結構な閉鎖市場であることが挙げられます。初めて貿易を始めようとする会社(or個人)の場合、まずはそのハードルをクリアするのが難しい。それと、彼らも仕事ですので、手間ばかりかかる小規模な輸入については、あまり喜んで対応してくれないということもあります。ましてや「リアルエール」みたいな、過去に輸入例のない、ややこしそうな食品についてはなおさらです。

上記の理由により、まずはリアルエールというものを良く知っているであろう、英国で活動されている日系のフォワーダーにコンタクトを取りまして、実際に何度かオフィスを訪問し、詳細を詰めていきました。しかしその会社はあまり食品を取り扱った経験がなく、また設備的にも、多くの部分を同業他社にファームアウトしなければならないことが判明します。
それならばと、日本で洋酒や食品で実績のある、大手フォワーダーをいくつか選んで、連絡を取ってみました。ダメ元で連絡したのですが、嬉しいことにその中の3社から、返信をいただくことができました。さらにそのうちの1社の担当の方が特に熱心に調べてくださり(偶然ですが英国で仕事をしておられたことがあり、リアルエール好きだそうです)、何度も英国にコンタクトを取られた上で、非常に競争力のあるプランを提示してくださいました。英国のフォワーダーさんに最初の連絡をしてから半年。長かったです…。

さて、1パイント(インペリアルパイントなので、570ccです)あたりの原価(輸送費、酒税、冷蔵保管料等全込み)はいくらになったでしょう?

この辺もあまりオープンにしたくはないのですが…。

まあ、500円にもならないとだけ申しあげておきます。どこぞのサイトで、小売単価2000円以上じゃないと採算がとれないとかなんとか書いてありましたが、正直「ザマミロ」と思いました(笑)もちろん、あちこちで価格交渉をした上で、この価格が出てきたのですが…。

私の考えでは、UKパイントは日本人には多すぎる(美味しいうちに飲み干せない)ので、リアルエールは350ccと200ccのグラスで販売しようかと思っております。その場合、350ccなら原価300円台です。誰ですか?英国のリアルエールを輸入したら採算が取れないっておっしゃってたのは…??(-。-)y-゜゜゜

まさに「意思のあるところに道あり」ですね◎

今回の画像は、ロジスティクスつながりで。NorfolkにあるWells-next-to-seaの港で見た、カニの水揚げ風景です。作業の一部始終を見て思ったのは、ロジスティクスの悪さでした(笑)カニカゴで捕らえたカニは、海水で濡らした麻袋をかぶせただけで輸送されていきます。これでは鮮度も落ちるわけです(実際、港の目の前にあるシーフードレストランでも、そのカニを刺身で食べることができませんでした)。日本じゃ考えられませんわ。では~

Fisherman at Wells-next-to-sea




theme : Restaurant
genre : Gourmet

2009-12-30

ついに都内に英国リアルエール専門パブ開業!!のはずが…

大変申し訳ありませんでした。帰国してから更新しようとしてたら、ほんとーに色々あって、ようやく更新できる運びとなりました。とりあえず、お詫びと言ってはなんですが画像を色々。

IMG_3960.jpg
Cambridge Beer Festivalの夕暮れです。みんな、芝生の上でいい具合に飲んだくれてます。

IMG_4077.jpg
Norfolkにある、フロアモルト屋「Branthill Farm」のボトルコンディションエールショップ内観。圧巻です。

で今、プロジェクトはどうなっているのかといいますと、実は、今年の夏から私は、都内の某業務酒販卸業者と業務提携契約を結び、都内にリアルエール専門パブをオープンするというプロジェクトを推進しておりました。それが12月に突然計画無期限凍結となり、私とチームメンバー二人は、師走の夜空(昼間でしたが)に放り出されたわけです。

はい、師走にプーさんが3人誕生したわけです。「だから時間があってブログ更新してるんだろう」という声が聞こえてきて耳が痛いです…。その通りでして…。まあ、人材をはじめとしたリソースは全てこちらにあるので、今はこの計画を受け入れていただけるような、新たな企業様を探しているところです。

でも、でもですね、この前PCの前でソロバンをはじいてたら、自社輸入の、小さなリアルエール専門のパブなら、都内の居抜き店舗利用で800万くらいで開業できるのではないか…となりまして。
ひょっとしたら、ビール大好きな融資、もとい有志を募って、小さなレストランファンド的なものを組成することで、夢が実現するのではないか???などと考えているのです。
どうか他力本願などとおっしゃらないてください…。私はこの1年間、すべて持ち出しで英国に延べ2ヶ月間滞在し、都市部の有力パブから地方のグラビティシステムパブ、モルトファームからブルワリー、フェスティバルと精力的に動き回り、500銘柄超のリアルエールをテイスティングし、ノートを取り、ローカルなビール飲みと交流を深めてきたのです。もう自己資金はありませぬ…。
でもそれと引き換えに、なんと事実上、英国内に流通するすべてのリアルエールを輸入できる航空便ルートを確立したのです!!それがまさに、サンプル輸入を開始するという段階でのプロジェクト断念…。泣くに泣けないです(T_T)

ビール好きのみなさん、ここは一致団結して自分たちの利益を守るために立ち上がるのです!!

…すみません。勝手に盛り上がってしまいました…。

でも想像してみてください。都内のターミナル駅近くの路面にある15坪程度のパブで、仕事帰りに、ビジネスランチタイムに(ダメだって)、あるいは営業途中に(もっとダメだって)立ちでリアルエールを飲みながらほっと一息なんて素敵な風景だと思いませんか?
もちろん提供はグラビティシステムで。常時10種類のカスクコンディションリアルエールをご用意しますよ!しかも月替わりです!!Fu●●er'sとかGr●●n ●ingとかそういう大手さんのケグを飲みたい方はヨソへどーぞー◎

はぁ、書いてる本人が一番行きたいです…。

これからはきちんと投稿していきます。私がどのようにルートを確立したかの顛末、あるいはテイスティングノートや、現地のガストロパブ最前線などをざっくばらんに書いていきます。

どうぞみなさん、このプロジェクトをお見捨てにならないよう。
そしてプーさんになった直後に家を出て行った嫁さんへ、私を見捨てることのないよう…。
アナタがいないと、このプロジェクトも面白さ半減だよ…。



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olubayo

Author:olubayo
日本唯一の英国リアルエールエージェント兼セラーマン。大阪外国語大学卒業後、某大手新聞社を早期退職。翻訳をしながら某料理雑誌記者という二足のワラジ時代を経て、一念発起してシチリアの超自然派ワイナリーで修業。ワイナリー設立の資金集めのため、もう一つの偉大な醸造酒文化である英国の「カスクコンディションリアルエール」を日本に紹介する仕事に奮闘中~
お店でリアルエールを提供したい方、一度飲んでみたい方、業態開発をお考えの方、みなさん大歓迎です。どこへでも説明に伺いますよ!

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