2010-03-28

リアルエール、ついに日本でも飲めますよ!

久々のエントリです。英国滞在記の続きを書こうとして、筆が止まったまま幾年月…(大げさ)。

実は、ちょっとばかり忙しかったんです。理由は…。

なんと!!知人づたいに「英国リアルエールが飲めるお店を開店したい」というお話をつないでいただいて、エージェントの私が「いっちょかみ」させていただいたんです。

↓↓ここです!↓↓
Radiant Real Ale Show Window

Radiant Real Ale
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-18-2 上村ビル2F


ショーケースの雰囲気は、英国はPooleのパブ「Bermuda Triangle Freehouse」の内装をほうふつとさせますね…。「なんや、本格英国パブじゃないやんけ」と言うアナタは、日本に対して「フジヤマゲイシャ」しかイメージできない人のごとし。本国には、こんなテイストの店もあるんですね~。

場所は渋谷は道玄坂から、百軒店に入って道なりに左方面に直進した突き当り右角のビルです。
Radiant Real Ale Sign
外看板にも誇らしげに「Real Ale」の文字が◎

Radiant Real Ale Counter Shot
内装は「関西アングラオーセンティックバー」な雰囲気ですね(なんのこっちゃ)。

で、バックバーの冷蔵庫には誇らしげにマイクロカスクが…!!もちろん、グラビティスタイルでお出ししております◎セラーマンはそう、私でございます…。
Radiant Real Ale Cellar


オープンしてまだ10日足らずなんですが、すでに英国人のコアなお客様にも来店していただいてます!エピソードをひとつ紹介させてください。

ある日いらっしゃった英国人のお客さん、なんでも、彼のおじさんが英国でパブの主人をされているそうでして…。で、ここぞとばかりにバーテンダーの方が熱心にリアルエールを勧めたのですが、彼はかぶりを振って、「オレは日本に来てこの国で飲めるリアルエールのひどさをよく知っている。モルツのドラフトをくれ」と言われてしまったんですね。とりあえずオーダーには応えたものの、それでもとなおも食い下がったら「じゃあ味見させてくれ」となりまして。

おもむろにグラスに鼻を近づけた彼、ぱっと顔が明るくなり、バーテンダーさんに開口一番「お!これは本物だ!!お前どうやって輸入したんだ!?」と(笑)

それからは同席の彼女さん(日本人)にリアルエールの講義を始めて盛り上がったこと。最後には、「おじさんのパブで飲んだリアルより旨いよ」と言い残して帰られました~。

確かにその日はマイクロカスク開栓4日目で、相当味は乗ってましたがね。嬉しいものです。日本で初めて英国のリアルエールを飲んだ英国人のリアルエールラヴァーからそういう言葉をいただくのは…。私のセラーマンシップもまんざらではないということですかね?(手前味噌ですが)
ほら、セトリングもバッチリでしょ?↓↓
Radiant Real Ale Settled Ale

現在お店で開栓しているリアルエールは、Beeston Breweryの「Worth the Wait」というゴールデンペールエールです。Beestonはノーフォーク州に2006年に設立された新進のマイクロブルワリーで(まだウェブサイトもありません)、本銘柄は2007年のNorwich Beer FestivalのWinnerを受賞した、いわばフラッグシップ商品です。原料はモルトとホップ、酵母のみ。モルトは地元ファームで伝統的なフロアモルティングで造られた、ペールエールモルトです。ホップは、英国の伝統品種であるファグルス種(UKエールのフレーバーを特徴づける最重要品種)をビタリングホップとして用い、そしてそのファグルス種からの派生品種であるカスケード種をアロマホップとして用いています。カスケードホップ特有の、レモンやグレープフルーツを思わせるシトラス系アロマを楽しんでいただけると思います(某大手の某ビールもカスケード使用を謳っていますが、味わいには何にも反映されていませんね)。モルトの甘さ(米国系地ビールによくある、酵母不活性/人為的発酵停止によるシリアルフレーバーがないことに注目)と合わせることによって、ライトなスタイルにもかかわらず味わいに厚みをもたらしているあたり、UKエールの真骨頂だと思います。液体の粘度の高さにも注目してくださいね。私の少ない経験では、これは英国のいくつかのリアルエールにしか見出したことがありません。おそらく、仕込み水に含まれる豊富なミネラル分が関係しているのではないかと思います。

とまあ、私がここでゴタクを並べなくても、このお店で一度飲んでいただければ、私がことあるごとに「英国のリアルエールはビールではなく、醸造酒である」と言っている本意を理解していただけるのではないかと。英国人の彼も、テイスティングコメントとして、「オレンジピールのアロマに、レモンを思わせるフレーバーと酸味が感じられる」と言っておられました。さすがは本国のエールラヴァーです。

あ、よりハードコアを志向されるエール飲みの方は、バーテンダーさんにお願いすると、このエールに使われているペールエールモルトを試食できますよ◎

このブログをご覧の方で、関東圏にお住まいの方は、ぜひ一度足を運んでみてください!渋谷にはブリティッシュパブも米国クラフトビールパブも、さらにはドイツビアホールまでありますから、ぜひともpub hopping(はしご酒)していただき、インディーズ系「リアル」リアルエールの凄さを実感していただきたいと思います。
皆様のご来店状況によっては、来週の後半には、早くもBeestonのIPAを口切りできるかも?個人的には、英国最強のローアルコールIPAです(とは言ってもしっかり4.8%はありますが)。

私も早い時間帯なら、出来る限りはお店におります。もしリアルエール談義をされたい方は、お気軽にお声掛けください!同業他社の方、地ビールメーカーの方、大歓迎です!もちろん、4大メーカーの方々も(笑)

小さな一歩ではありますが、私の夢が動き始めました。いつも気にかけてくれて、励ましてくれるみなさん、本当にありがとうございます。特にTさん、毎日僕を叱咤激励してくださって、いくらお礼を言っても足りません。これからも頑張って例のプロジェクトたちを一つずつ実現しましょう!

小さな一歩を祝って、ナイトキャップに自作のグラッパなど飲みながら、こんな歌を。
でも私がrichになってみんなにプレゼントするのは、歌詞にあるセーターじゃなくて、多分ワインになると思います…笑

歌詞はこちらからどうぞ◎




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2010-02-25

「ネルソン提督の血」を飲んだ話

私が今回フィールドワークしてきたノーフォーク州の偉人と言えば、何といってもイギリス海軍の伝説の提督、ホレーショ・ネルソンなわけです。小学生の頃に帆船の本を読み、戦艦H.M.S.ヴィクトリーと共にその名前を知った私は、それから漠然と彼に憧れを抱き続けてきたのです(しかし帆船自体の美しさという意味では、「ソヴリン・オブ・ザ・シーズ」の方が好きだったりもする)。ひょんなことから、彼が酒宴を張ったパブが現存していると知り、その訪問が、今回の旅のひそかな楽しみでもありました。以下、訪問日の夜に私が書いた日記の中を抜粋します。けっこう個人的なことも書いてあるんで恥ずかしい部分はありますが、笑って飛ばしてください。

Norfolk scene02
雪に雨に霰に快晴、と噂通りに天気が変わる英国らしい一日であった今日、事前調査の段階でもかなり興味をそそられていた、ネルソン提督ゆかりのパブ「The Lord Nelson」に行ってきた。このパブは彼の生誕地であるバーナムソープ村(今回のベースであるWellsから西へ車で15分くらいのやや内陸)にあって、1793年、フランス革命軍に対抗すべく彼が出征する前日にここで酒宴を張ったと史実にある。ちなみにネルソンの名前を冠したパブは英国全土に星の数ほどあるのだが、その嚆矢がここなんだそうだ。

Lord Nelson

パブとしての歴史は1600年代からという古い建物だけあって、低い天井と細かく分けられた区画が印象的。パブスペースには大きなマホガニーのテーブルが3つ。そこを囲むように雑多なデザインの無垢材の椅子が無造作に置かれている。暖炉には小さな薪が燃えていて、小さなおき火が赤々としていた。バーカウンターはあるものの古い郵便局の窓口みたいな感じで、ハンドポンプは立っていない。お客はここで酒をオーダーし、スタッフが一度中に引っ込んで商品を持ってくるというスタイル。
ディナータイムだったせいか、パブのお客はまばら。冬場だけにみんなローカル。座って、静かに飲んでいる。オレも端っこに席をとり、まずはこのパブのご近所さんでもあるFox Breweryが造るNelson's Blood Bitter5.5%をハーフで。
Nelson's Blood Bitter 5.5%
うーむ。甘くてビターな、どっちかと言うとストロングエールだよね。赤みがかった深いアンバーな外見に仕上げたあたり「名前ありきのスペックかな」と若干のあざとさを感じたりもする(イヤだよね、こういう深読み)。まあ、嫌いじゃないけど好きなエールでもないのでさっさと片付けて、ここの名物Nelson's BloodとLady Hamilton's Nip(ハミルトン夫人の一口酒)というスパイスラム2種を試すことにする。 ノージングすると、前者はクローブが、後者はアニスが効いてるね。 ちなみにNipには、「一噛み、酷評、乳首」といった意味もあって、なかなか意味深な名称なのだ。
Nelson's Blood Rum
Lady Hamilton's Nip Rum

このラムが「ネルソンの血」と呼ばれるゆえんは、史実に求めることができる。彼は1805年に、かの有名なトラファルガーの海戦で戦死(彼の得意技であった接近戦術が災いして、当時の精度の低い銃にもかかわらず至近距離で狙撃されたらしい)したんだけど、その遺体は腐敗させずに本国に移送するために船上(もちろん、あのH.M.Sヴィクトリーの甲板で!)でラム酒漬け(!!)にされた。ところがイギリスに着いてみるとそのラムが空だったらしい。理由は船員たちがネルソンにあやかるべく「漬け汁」をすべて盗み飲みしてしまったとされていて(笑)、それがラム酒=ネルソンの血となった次第(クローブは後世の尾ひれとでも言おうか)。そういう訳で、ノーフォークのエールにも「Nelson’sなんとか」という銘柄が多いのだ(醸造酒とスピリッツは根本が違うような気もするが)。ちなみにハミルトン夫人というのはネルソンの愛人で、生まれは云々…と書きたいところではあるが、まあざっくり言えば彼女は公娼で身を立てたわけです。こういう人の生涯を今あげつらうのはちょっとアレなんで、興味のある方は、どうぞご自身で調べてみてください…。

さて、こんな酒とこんな場所が揃えば、やはり飲むシチュエーションにもこだわりたい。酒を仕事しているオレには、少なからず「究極の酒」というべき経験があるのだが、それは例外なく、屋外なんだよな。そしてメチルやケミカルなものでなければ、アルコールはどんなものでも構わない(ロシア人はメチルでもOKらしいが…って、死ぬぞorz)。となれば、「ネルソンの血」をノーフォークの寒空の下で飲むしかないでしょう。「血」が入ったショットグラスを手に、ネルソンがそこをくぐって出て行ったという低いドア(ドアの上に、そう但し書きがしてある)をくぐって外に出る。
Nelson's Doorway

今日は格別に寒い。内陸だけになお寒い。外の空気を楽しむ時間もそこそこに、スパイスラムをぐっとあおる。甘い。冷気でこわばった身体が一瞬でほどけていく。アルコール度数は40度弱くらいか。ここまで寒いと、無調整原酒至上主義者のオレであっても、添加された糖分がある種の暖かさを感じさせてくれていいもんだなと思ったりもする。うまいかまずいかって訊かれたら、はっきり後者だけどね。

この2カ月のこと、いや5年のことを思って、何とはなしにしみじみと外を見上げれば、頂天には天の川が真っ白に流れている。その中にオリオン座があり、オリオン大星雲が肉眼ではっきりと見える。あ、オレ帰国してもまだ根なし草なんだよな…。白いため息に南方のスパイスアロマとサトウキビのニュアンスが混じって、暗い冷気に溶けていく。

くそったれにどん底な現状を日本に残したまま、くそったれに寒いノーフォークに「外こもり」して、くそったれに美しい星空を見上げながら、くそったれなご当地スピリッツを飲む。パブの中の静かな喧騒はここまで届かず、オレと森と放牧地と、ため息の出るような満天の星空だけ。オリオンが不意に曇ったように見えたのは、イギリスの変わりやすい天候のためだけではあるまい。

酒と状況が織りなすその美しい一瞬のために、オレはいつも旅先で、屋外で、酒を飲むのだ。そうじゃないと一人で飲めないから。

明日は、コナン・ドイルが「踊る人形」を書いたパブを探してHappisboroughまで行くつもり。そこで笠井潔の「探偵小説論」なぞ読みながら、20世紀と探偵小説について考えてみようと思う。なーんてカッコいいこと言っても、ま、ローカル達と飲んだくれて終わるんだろうけど。

旅はきっと、危機感がないとヴィヴィッドなものにならないよね。人生もひとつの旅であるとするのなら、人生もまた。

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2010-02-21

帰国しましたっ!!

4日前に帰国いたしました。マイクロカスク、頑張って4樽持ち帰りました!しかもノーフォークの新星で、2006年の設立なのにもうEast Angliaのベストエールとの呼び声の高い蔵元です!さあ、いつどこでテイスティングしましょうかね?笑

イギリスでブログを更新しようとしたんですが、やはり日々の情報量がハンパじゃなくて、毎晩手書きのメモをデータに起こすだけで精いっぱいという状況でして、更新は無理でした…。その分、今日からボチボチ更新していきますんでよろしくです◎今回は以前にも増して大収穫でございます。

さて、時間軸に沿ってご紹介していきますね。

英国に到着したのが9日の夕方。実はその10日前くらいから持病の腰痛が悪化しておりまして、ご丁寧にぎっくり腰まで患っておりましたので、その日は宿に直行、10時間以上寝て過ごしました。だって次の日は、結構大きなエールフェスティバルの初日ですから…。

そのフェスティバルは、ロンドンの南西にあるBattersea Art Centerで例年行われておりまして、今年で20周年だそうです。供されるのはエールとサイダー、ペリーに外国ビールと合計140種類。冬のフェスティバルの中でもかなり大きな方です。ロンドン市内で開催というのも、ツーリストにはありがたいポイントですね。

…と言いたいところですが、会場へのアクセスがひじょ~に悪いのです(怒)。最寄駅のClapham Junction駅すら非常に行きにくいので、私はVictoria LineのVauxhall駅からバスに揺られて20分かけて会場入りしました。

っと、入口付近にのっけからHop Backの配送トラックが。とは言っても、この寒空にSummer Lightningはあまりチョイスしませんね…。

Hopback Brewery Lorry

20th Battersea Beer festival venue

さて、入口で2ポンド払って、グラスに3ポンド払って、中に入ります。うず高く積まれたファーキン、スタッフなのにすでに顔の赤いボランティア、平日の昼間なのに飲んだくれるローカルなオヤジたち…。うれしいじゃないですか。4ヵ月ぶりのフェスティバルの風景です。さっそく私も仲間に入りましょう。アルファベット順に並んだファーキンを端から見ていきます。飲んでない銘柄、飲んだ銘柄を分け、その中で今日の飲みたい気分マップにプロットしていきます。さて、まずは前回の渡英の記憶を引き継ぐためにこんなのはいかがでしょう?

Bowman Swift One 3.8%
BowmanのSwift One 3.8%です。前回渡英時、Johnさんに案内してもらったハンプシャーローカルのブルワリーですね。ゴールデンビター。シトラス系のホッピーアロマが際立ちます。そこにモルトの濃い甘み。ベッコウ飴風です。モルトの甘みによって、ゴールデンエールにありがちな中間部の味わいを補完するという、典型的な造りです。すこし集中力が足りないですが、それがまた飲みやすさということですかね。

続いて、Copper Dragon Challenger IPA 4.4%。
Cooper Dragon Challenger IPA 4.4%
英国でよく見かけるようになった、低アルコールのIPAです。このカテゴリは本当に難しい。ちょっとしたことで、ただの不味いベストビターになってしまいますからね。これも残念な結果です。乳酸が多すぎ。しかもシャバシャバ。

不味いエールを飲んだ後は、鉄板の旨いエールでキモチを盛り上げましょう◎出ました!大好きなマイルド。Rudgate Ruby Mild 4.4%です。冬に飲むマイルドはどんな感じかな?
Rudgate Ruby Mild4.4%b
Rudgate Ruby Mild4.4%a
これは別格だよね。レーズンがかったアロマ。ホップアロマも感じられる。スモーキーでもある。ナッティ。リッチでフルフレーバー。複雑。甘くない。けっこうドライに切れていく。ここまで複雑な要素をかっちりまとめて味わいをビルドできるブルワリーはそうそうないのではないでしょうか?Buffy’sのBitterにも同類のニュアンスを感じますが、集中力という意味ではこちらが上ですね。これがもしスワンネックで提供されてたら、もっと強烈な印象なんだろうね。素晴らしい。大好きっす◎

続いて、さらに鉄板コレクションから。Wentworth Oatmeal Stout 4.8%です。
Wentworth Oatmeal Stout 4.8%a
Wentworth Oatmeal Stout 4.8%b
ローストアロマ。コーヒーフレーバー。乳酸。オートミール由来の独特なアルコール感。ドライなフィニッシュ。私が知るオートミールスタウトの中ではベストの部類です。いつどこで飲んでも外れがないということは、手堅い造り手なのか…。

おっ◎ちょっと気になるIPAを発見。Thornbridge Jaipur IPA 5.9%
Thornbridge Jaipur IPA 5.9%
標準的なIPAアロマがあります。シトラス。ビスケット。少しアルコリックながら、かなりdrinkable。ホッピーですが、シトラス系に終始する点が、あの過激に青臭い米国系IPAと大きく異なるところ。どっちが好きかと訊かれたら、断然英国スタイルです。だって米国式は、2杯目飲めないですもん…。

Headless(Flowerpots) King Street Ale (KSA) 3.8%
Dark Star Over the Moon Mild 3.8%
ホッピーゴールデンビター。ゴールデンエール特有のミドルレンジの味わいの抜けをビタリングホップを重層的に用いることで解消しようとする意図は感じるけど、やはり物足りなさはある。もう一歩のインパクトを!

BrewDog Trashy Blonde 4.1%
Brew Dog Trashy Blonde 4.1%
超ホッピーなゴールデンベストビター。アルコールの高さもあるんだろうが、上に比べてかなりしっかりしている。モルトがきちんと甘いのも好印象。さすがブルードッグ。でもUKのエールじゃないような気もするな…。米国のでもないのはもちろんだけど。クリプトジェニックなエールです。これが今の主流なのかもしれないし、個人的には嫌いじゃないけど。

Dark Star Over the Moon Mild 3.8%
Dark Star Over the Moon Mild 3.8%
Ruby Mildほどじゃないけど出来がいいマイルド。3%台のマイルドでここまで味を乗せられるのはさすがDark Star。これも好き。

Northumberland Irish Stout 4.8%
Northumberland Irish Stout 4.8%
窒素じゃない、正しいクリーミーさがあって旨い。昔ながらの正しいアイリッシュスタウトをスタンダードに表現している。控えめなピート。乳糖添加はあるみたい。

Wickwar Station Porter 6.1%
Wickwar Station Porter 6.1%
もはやポーターと呼んでいいのか?というレベルのアルコール度とホップ感。ものすごくビターな余韻が長く長く続く。過剰さという意味では米国っぽい。

Westerham Grasshopper 3.8%
Westerham Grasshopper 3.8%
アンバービター。モルティ。しっかりビタネス。かっちり仕上がってる。アルコール度数以上の味わいの深さと相まって、この造り手ならではの「正しさ」が感じられる。

Troggi Monmouth Dry Seidr 7.1%
Troggi Monmouth Seidr(dry)7.1%
これまでテイスティングしてきた中で歴代第1位のサイダー。今日の一番の収穫。マジ旨。超クリーンな造り。酢酸発酵をほぼ抑え切ってる。それで、アミノカルボニル反応まで起こし、樽熟成を思わせるニュアンスすらある(直前にラム樽熟成ものもテイスティングしたが、明らかに違う)。タンニンもしっかり。リンゴ酸も未熟な感じじゃなく、完熟でも維持している酸味のようだ。マロも起きてるけど、コントロール下にある。ドライだけどボーンドライではない。とても複雑。非常に見識のある造り手と見た。

さて、こういったフェスティバルでは、アジア系の人間を見ることはあまりないのです(日本人が多いCambridgeのフェスティバルでは、ボランティアも含め、多くの日本人の方にお会いしましたが)。ところが、会場をひと回りして最初の場所に戻ると、カウンターで何やらメモを取りながらエールをハーフでテイスティングしているアジアンを発見◎そーっと近づいてメモを覗いてみると…

日本語で書いてるじゃないですか!?おおっ!同好の士っっ!!

すぐにナンパしちゃいました(笑)。しゃべってみたらびっくり。あの老舗英国パブブログの主、Londonsakeboyの稲葉さんでした~◎◎ほらっ↓↓↓
Shion&Inaba-san

あ、私は左側の赤い不審者でございます◎二つの口があると、テイスティングにターボがかかります。この後、二人でグラスをシェアする方法でさらにいくつか試飲したのち、地下にあるサイダーとペリーのカウンターで、さらに飲みました。最後はバス停でサヨナラしたのですが、次の日には二人とも結構記憶が飛んでおりました(^^;)

稲葉さん、ブログの内容に違わず、非常に話していて楽しい人でした。日本語で(笑)、こんなにエールの話をできたのは初めてと言っても過言じゃありません。いつも英語でしか専門的な話ができなかった私は大興奮!!
私はどちらかというと、エールの銘柄や造り手、地方のパブにフォーカスしているのですが、稲葉さんはロンドンのパブをものすご~く攻めてます。経験に基づいた的確な意見、彼一流の見解は聴いていて本当に楽しかった。いつか一緒に、エールネタで何かやらかしたいですね!!

で、初日には開いていなかった銘柄があったので、私は次の日もバスに揺られてBatterseaフェスティバルに行ったわけです。でもこの日はとっても残念な一日でした。というのも、ほぼ全てのエールのコンディションが「終わって」いたからです。ファーキンを見たら納得。ソフトスパイルすら抜かれて、エールが空気に触れるに任せてあるんです。そんなんしたらダメですわ~。私たちエールラヴァーが、フェスティバルの初日をめがけて行くというのには実はこんな理由があるからなんですね。決して、初日は入場料が1ポンド安いから、ではありません(笑)

とは言えうれしい出会いがあって嬉しかったのは事実。稲葉さんの他にも、10月のCloydon/Suttonのフェスティバルで会ったローカルの方(この人もJohnです)がボランティアで入ってて、「お前、10月にも来てたよな!」て話しかけられて、「おお!」と再会を喜んだりというのもありました。見ず知らずの土地で自分を知っている人間に会うというのは、旅人冥利につきます。

エール好きに悪い人はいませんね◎みんな大好きでっす!!

では、次回はノーフォークのローカルパブ訪問記などを。こちらも濃ゆいです…。

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2010-02-09

これでもう最後ですよっ!最後の自腹ですからねっ!!

忙しいので短いエントリ、行きます。

はい、この一年で4度目の英国です。


なぜこの時期にかと言えば、サンプルがないからです…。みなさん、二言目には「日本だと、どこでイギリスのリアルエール飲めるんですか?」となられるんで、百聞は一飲にしかず。
本当は自分でセットアップしたルートで流したかったのですが、輸入手続きのコストが、1個も100個も同料金なわけです。少ないロットだと、えらいコストになるのです。人間が取りに行った方が安いんですね。しかもこの暗くて寒い時期ともなると、飛行機チケットも安いし。

でも先が見えない中での渡英なので、まったくテンションが上がりません!

現地は寒いだろうに、荷物を削った都合上、モモ引きが一枚しかないのも不安です!裏表前後と穿けば4日はいけるか…(笑)

でも、今回も色々とネタとコネを作ってきますよ!そしてもちろんサンプルも!!

行き先はロンドンとノーフォーク。いずれも再訪です。

帰国後、極秘にて内々のテイスティング会なぞ計画してます。いつどこでかは未定ですが。

現地リポートも、なるべく頑張りますのでー…

では今日正午の飛行機で行ってまいります!!


なお、以下業務連絡です。

ボーンマスには行きません。ええ、絶対に(笑)。後で思い知らせてやるために、今は仕込み中◎

○ス○家のみんなよろしく。わからんやろけど、自分らがオレに対してしたことと言ったこと、3倍返しにしたるから。

…覚悟せえよ。

♪♪♪

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2010-01-26

エールの泡について

さてさて、ご無沙汰しておりました。
ご無沙汰してたってことは、現実世界が忙しかったということです…。
ていうことは…近々リアルエールラヴァーのみなさんに、嬉しいお知らせができるかも!?

ま、期待せんと待っといてくださいね。

今回のエントリは、前回の二酸化炭素ネタに引き続いて、エールの泡についてお話します。
ビールの泡(英語では「ヘッド」と言います)というものは、とかく好事家のネタになりやすいものでして、やれグラスにおける液体との比率だの、泡の細かさだの、エンジェルリングだの何だの…。それはかの国のエールラヴァーたちも一緒です。パブのカウンターで、口角泡を飛ばして(エールの泡じゃないですよ)議論するわけです。ときには感情的になることも。ま、そんなときは、以下に書くように、あなたがテクニカルに話せば済む話。何パイントも飲んだ後に、頭がうまく働くは保証しませんが…。

そもそも、何があの泡を作るのでしょう?まずは試しに水をグラスに勢いよく注いでみてください。泡は出ませんよね。つまり、水が持っている特性ではありません。じゃあ今度は、炭酸の入った清涼飲料水を注いでみてください。おお、勢いよくヘッドが形成されます。でも、ビールのヘッドのように持続力を持っているわけではありません。ということは、炭酸ガスが持っている特徴でもないようです。
実はあの持続的な泡を生みだす原因物質は、ビールの中に存在する微量成分、具体的に言うと、ある特定のタンパク質なのです。一杯のビールの中には、おびただしい量の有機化合物が含まれているのですが、その中に「糖タンパク質」と呼ばれる一群があり、それがビールの泡を作りだしているのです。
糖タンパク質というのはけっこう大きな分子でして、便宜的な言い方ではありますが、「頭」と「尻尾」があります。この両端は正反対の特性を持っておりまして、頭は疎水性(水をはじく)、長い尻尾は親水性(水となじむ)なのです。ビールの泡が形成されると、この糖タンパク質が泡の表面に上ってきます。疎水性の頭部が泡の表面上に顔を出そうとする一方(疎水性ですから)、尻尾は泡の中にとどまろうとします。結果、泡の表面には一種の膜のようなものが形成され、泡の粘性が増加し、泡の構造が維持されるのです。

とはいえ、糖タンパク質だけでビールの泡について語れるのかと言えば、そんな簡単な話でもないわけで。むしろこれから書く内容の方が、世のビール飲みたちが日夜繰り広げている熱烈な議論において、あなたを色々な意味で優位な立場に立たせてくれるでしょう(笑)。リアルエールのヘッドはどのようにして形成されるのか、そしてヘッドの中にどのようなガスが入っているのか、そしてヘッドの見た目、そしてヘッドはどのようにビールの味わいに影響を与えるのか???結構調べたので、このブログの読者の方々だけに、こそっとお話ししますね。

エールをグラスに注ぐ方法はいくつかあるわけですが、グラビティシステムや短い注ぎ口がついたハンドポンプなどの場合、提供時にグラス内に生じる対流によって泡が生成されます。この場合、泡のサイズはバラバラで、ゆるいヘッドを形成します。これはイギリス南部で良く見られるヘッドのタイプで、大きくて不均一な泡の中には、相当量の空気が含まれています。このようなタイプの泡は、ビールの味わいに大きな影響を与えることはありません。
これとは別に、ハンドポンプの注ぎ口にスパークラーが取り付けられている場合もあります。エールはスパークラーに開けられたたくさんの小さな穴を通ってグラスに注がれますが、その際に2つの変化が生じます。一つは穴を通過するときの刺激で二酸化炭素が液体から遊離し(缶入りの炭酸飲料を振ってから開けた時と一緒です)、もう一つには小さな水流によって泡に抱きこまれる空気の泡サイズがより細かく、均一になります。このようにして形成された固めのヘッドは、通称「ヨークシャー・ヘッド」と呼ばれ、北部に行くほど一般的に見られるようになります。こちらのヘッドは味わいにも影響を与えます。二酸化炭素が液体から遊離する際には、ホップオイルも同時に空気中に放出されます。結果として、グラビティで注いだ場合よりもホップの苦みが和らぎ、炭酸ガスの濃度も少しだけですが低下します。愛好家たちは、これを「スムーズなエール」と呼んでいます(が、いわゆるケグエールの「スムーズ」とはゆめゆめ混同なさらぬよう)。

ところで最近は、「第三の道」が登場しました。もうあちこちで見られるようになって、急速に普及した感もあります。名前を「スワンネック」と言います。文字通り、白鳥の首のような長い注ぎ口がついたハンドポンプのことです。パブスタッフがスワンネックでエールを注ぐ動作を見ていると、注ぎ口をグラスの底にほとんどくっつかんばかりにしてエールを注いでいます。エールが、グラスの底からズーっとせりあがってくる感じです。「あれ、空気抱き込んでへんやんけ。これじゃヘッドできひんやん」て思ってみていると、なんと細かくてきれいなヘッドが形成されているじゃないですか!?
このスワンネック、簡単な物理学の定理を応用したものなんですね。高校の授業でその定理の名前を聞いたことがある方もおられるでしょう。「ベルヌーイの定理」てやつです。実際はややこしい計算式が出てきて軽い頭痛を起こすので、文字でもって簡単に説明します。

「流体の流速が上がると、圧力が下がる」


ということです。「そう言われても直感的には分からんわ」という方々のために、ハンドポンプを通って提供されるエールの状態で、具体的なイメージをつかんでみましょう。
以前説明したように、ハンドポンプは井戸の原理でエールを樽から吸い上げます。チューブラインを通ってポンプアップされたエールは、チューブの内径よりも細いスワンネックを通過します。ここで、チューブ5cm分のエールの量を想像してください。このエールがスワンネックを通る際には、当然見た目の長さは5cmより長くなります(便宜的に6cmと仮定しましょう)。でも、あとからあとから吸い出されてくるエールの流速は変わりません。つまり、スワンネックを通るときには長い距離を同じ時間で通過しなければならない訳です。つまりエールの流速が上がるのです。ということは、スワンネックの中を通るエールは、一時的に低圧状態に置かれるわけです。

はい、圧力が下がった分だけ二酸化炭素が液体から放出されますね。放出された二酸化炭素は液体の中を通り、その間にホップオイルを始めとしたアロマ成分を遊離させながら、グラスの上部にあがってきます。その結果、固くてタイトなヘッドを形成するのです。それと同時に、液体中の二酸化炭素濃度が下がるので、飲み心地もスムーズになります。また、香り成分も感知しやすくなります。

ここまで説明すると、必ず「じゃあ、絶対オレはスワンネックだな」と一人合点する方がおられます。でもちょっと待ってください。コトはそうそう簡単なものではありませぬ。いみじくもジョージ・オーウェルが言ったように(彼は別にエールについて言ったわけではありませんが)、ゆるいヘッドも、固いヘッドも、スパークラーもスワンネックも、すべては嗜好の問題なわけです。嗜好とは後天的なものですから、自分の育った環境に多く依存するわけで、南部で育った人なら、ゆるいヘッドを好む人が多いでしょうし、北部ならヨークシャーヘッドでしょう。ちなみに私は最初にエールを飲み倒したのがボーンマスなので、当然ゆるいヘッドを好みます。最初は硬い印象のエールが、グラスの中で徐々に開いていくのを楽しめるというのもありますし。
加えて醸造担当者が、どのように提供されるかを企図してそのエールを造ったのかということも考慮する必要があります。そういった造り手の意図や地域性といったものを無視して、例えばすべてのエールをスワンネックで提供しているようなパブがあれば、それは単にマネジメントの欠陥と見るべきでしょう。さらに、ある客がスパークラーを用いて注いで欲しいと言っているところを、「いいえ、ウチはやりませんので」と拒否するようなパブも一緒です。そんなパブのたわごとに付き合わされそうになった時には、みなさんは勇気を持ってそのパブから出ていき、毅然と拒否の意思表示をしてください(その地域にパブが一軒しかないときは悲劇ですけどね)。

では今日はここまで。次回のネタは…。考えときます。

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Profile

olubayo

Author:olubayo
日本唯一の英国リアルエールエージェント兼セラーマン。大阪外国語大学卒業後、某大手新聞社を早期退職。翻訳をしながら某料理雑誌記者という二足のワラジ時代を経て、一念発起してシチリアの超自然派ワイナリーで修業。ワイナリー設立の資金集めのため、もう一つの偉大な醸造酒文化である英国の「カスクコンディションリアルエール」を日本に紹介する仕事に奮闘中~
お店でリアルエールを提供したい方、一度飲んでみたい方、業態開発をお考えの方、みなさん大歓迎です。どこへでも説明に伺いますよ!

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